ITに関する業務をすべて自社で行っている企業は多くはありません。ほとんどの企業が、特定のIT分野の業務を外部に委託する「ITアウトソーシング」を活用しています。ITアウトソーシングすることで、高い専門知識をもつ外部ベンダーに、インフラ設計や構築、システム運用などを外部委託できます。自社の社員では手が回らない業務を外部委託することで、社員の負担軽減、人手不足の解消、業務の効率化、コスト削減など、様々なメリットをもたらしてくれます。 本記事では、今注目の「ITアウトソーシング」とは何か、どのような形態のITアウトソーシングがあるのか、そしてITアウトソーシングを導入する前に知っておきたいメリットとデメリットをまとめて解説します。ITアウトソーシングを検討している方はぜひお役立てください。

ITアウトソーシングとは

ITアウトソーシングとは、ITに関する業務を外部に委託する(アウトソーシング)ことを指します。「外部委託」「業務委託」「外注」と同じ意味で使われます。ITアウトソーシングでは、IT関連の事業やサービスを行なう企業以外にも、社内のDX化を進めるためにクラウド移行やセキュリティ強化するために業務を専門の企業に任せるといった使われ方がされます。自社のIT業務を専門の業者にアウトソーシングすることで、IT分野の運用コストを削減し、自社のコア業務により注力できるというメリットがあります。 ITアウトソーシングは、企画から開発、運用までをすべて外部に委託する「フルアウトソーシング」もあれば、IT業務の一部を外部委託するなど、様々な委託形態があります。

ITアウトソーシングの形態(委託できる業務内容)

一口にITアウトソーシングと言っても、様々なアウトソーシングの形態があります。ここでは代表的な形態を6つご紹介します。

①フルアウトソーシング

企画から運用まで業務のすべてを一貫して委託する形態です。場合によっては、自社で企画を行ってからそれ以後の設計や開発、運用などをすべて委託することもあります。

②運用アウトソーシング

サーバーやOSなど、主にインフラ部分の運用のみを委託する形態です。システムを導入したけれど自社で使いこなせなかったり、メンテナンス作業に手が回ったりしないなどの理由で、システムの運用のみをアウトソーシングしたいときに最適です。

③ハウジング

サーバーや通信機器の設置場所を、外部ITベンダーのデータセンターに間借りする形態です。ハウジングでは、自社がサーバーをはじめとした機器を用意します。機器の保守やメンテナンス、トラブル対応だけを委託したいときに最適な形態です。

④ホスティング

外部ITベンダーが用意したサーバーやストレージを利用して、運用などを全面的に委託する形態です。自社でサーバーを設置していない企業にとって、外部のサーバーを借りられるので、サーバーの管理・保守コストを削減できます。

⑤ヘルプデスク

顧客からの技術的な問い合わせに対してサポートを提供する形態です。コールセンターのアウトソーシングも含まれます。サポート対応を外部の専門業者に委託することで、自社のIT部門はコア業務に専念できるというメリットがあります。

⑥常駐サービス

外部ITベンダーのスタッフが常駐するかたちで、技術的なサポートをする形態です。デスクサイドサポートとも呼ばれ、システム上の問題解決やトラブルシューティングを自社に代わって引き受けてくれます。

ITアウトソーシングが選ばれる理由とは?

どのような企業がITアウトソーシングを検討するのでしょうか?ここでは、ITアウトソーシングをが選ばれる理由をいくつか見てみましょう。
  • 業務のDX化を行いたいが自社で十分なリソースがない
  • プロジェクトの完了に時間がかかったり、技術的サポートに手が回らないなど、社内業務の効率化が低下しているため改善したい
  • 情報セキュリティ対策の強化
  • 自社でITチームを雇用する予算がない
  • ITカスタマーサポートだけアウトソーシングしたい
  • 自社のITチームがコア業務に集中できる環境を整えたい

ITアウトソーシングを導入するメリット

IT分野の業務をアウトソーシングすると以下のようなメリットがあります。

メリット① 専門性の高いプロエンジニアに任せられる

ITアウトソーシングを活用するメリットの一つが、ITの特定の分野に精通したプロ人材に業務を任せられることです。自社でITチームを構築するとなると、新しい社員を迎えるたびに研修をしたり、技術がアップデートされるたびに社員に研修を行わなければならないなど、時間とコストがかかります。ITアウトソーシングをすることで、即戦力となる経験豊富なスペシャリストに業務を任せることができるので安心できます。

メリット② ITにかかるコストを削減できる

ITアウトソーシングの大きなメリットが「コスト削減」です。社員の教育や長期雇用の必要がなくなるため、IT部門にかかるコストを削減できます。さらにシステムの運用やメンテナンスにかかるコストも削減可能です。それまで自社のIT担当者が担っていた問い合わせやトラブルの対応を、アウトソースすることで自社社員の負担を削減することにも繋がります。

メリット③ セキュリティを強化できる

IT分野に精通した専門家にアウトソーシングすることによって、自社のセキュリティを強化できます。ハッキングによるサーバーやシステムの停止による損失、情報漏洩などは、企業にとって大きな痛手になりえます。セキュリティ対策を専門家にアウトソーシングすることで、システムの運用や保守業務で発生するであろうリスクを大きく軽減できます。

メリット④ 自社の社員がコア業務に集中できる

ITアウトソーシングを導入することで、自社の社員がコア業務に集中できるようになります。多くの企業では、自社の社員が日々の問い合わせやトラブル対応に追われることがほとんどで、システムの企画や設計、開発など、自社のビジネスに直結する大事な業務に専念できません。コア業務ではないものはできるだけアウトソーシングすることで、自社の社員がコア業務に集中したり、空いた時間を学習や情報のアップデートに費やしたりできるといったメリットがあります。

ITアウトソーシングを導入するデメリット

メリットが注目されがちなITアウトソーシングですが、ITアウトソーシングを導入することによって弊害も生じます。ここではITアウトソーシングを導入するときに知っておきたいデメリットをご紹介します。

デメリット① 業務に柔軟に対応してくれるとは限らない

自社の社員と違って、外部委託の場合は自社の業務にいつでも柔軟に対応してくれるとは限りません。場合によっては外部ITベンダーのサポートに自社の社員が時間を割く必要も出てきます。第三者機関に、自社のIT分野をすべてアウトソーシングすると、その分自社でコントロールできる範囲が狭くなってしまい弊害を招く恐れがあります。

デメリット② 専門性の担保が保証されない

アウトソーシングする企業によっては、専門性の高い仕事を期待できないこともあります。特定の分野に高い専門性を持ったスタッフをかかえるベンダーもあれば、業務経験が少ないスタッフを担当にするようなベンダーもあります。ベンダー選びの際には、過去にどのような実績があり、安心して業務を任せられるような人材を確保しているかどうかを、慎重に見極める必要があります。

デメリット③ 技術のノウハウが蓄積されない

IT分野をフルアウトソーシングしてしまうと、社内にIT技術や知識が蓄積されないといったデメリットがあります。自社でシステム関連を担当する社員にとっても実務経験が少なくなり、自社で何かをするときに常にアウトソーシングに頼らざる負えなくなってしまいます。ITアウトソーシングを活用する際には、システムや保守運用の内容などを記録に残すなどして、自社内にもノウハウが蓄積されるような工夫をする必要があります。

デメリット④ セキュリティ上のリスクがある

ITの専門家にアウトソーシングをしていても、個人情報を外部企業に共有していることには変わりはありません。場合によっては、外部ベンダーの不手際により、自社の重要情報が漏えいするなど、セキュリティ上の問題が起こる可能性はゼロとは限りません。そのような可能性やリスクがあることを念頭に置きながら、ITアウトソーシングを検討する必要があるでしょう。

デメリット⑤ 予想以上にコストがかかる可能性がある

ITアウトソーシングを活用することで、ITにかかるコストを軽減できることをメリットとして挙げましたが、場合によっては予定よりもコストが膨らむ可能性があります。自社に必要な業務の範囲を把握していないベンダーに委託してしまうことで、関係のないところでコストが発生してしまうことがあります。自社の状況に寄り添ってサポートしてくれるような委託先を選ぶことが欠かせません。

ITアウトソーシングではない方法で、IT専門家チームを自社で採用する方法とは?

Ichizokuでは、日本企業がグローバルなエンジニア人材を調達、雇用、管理できるシステムを提供しています。エンジニアと直接やりとりを行えるため、ITアウトソーシングではありません。イチゾクのシステムを通してエンジニアチームをつくることで、柔軟性の高い対応とスピーディーな対応を期待でき、特定分野の業務を任せることができます。海外の優秀なエンジニア人材と繋がることができるため、日本では少ない特定分野のエンジニア人材を自社で採用できます。英語が話せない採用担当者の方でも安心して、外国人エンジニア人材の調達・管理ができます。イチゾクの詳しいサービス内容については、こちらをご覧ください。 

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